いちばんやさしいネット炎上対策(3) - 万一に備えておきたいネット炎上対策ルール

最近は、企業の8割近くが何らかのSNSを活用する時代になりました。無料で情報発信ができ、これまで困難だった顧客とのコミュニケーションを深め、商品・サービスの啓蒙から販売までを行えるSNSは、便利である反面、炎上から風評被害に繋がってしまう諸刃の剣とも考えられます。

気をつけていても、ふとしたことで炎上してしまう可能性のあるSNSですが、今回はより安全にSNSを運用するために、企業のSNS炎上対策についてお話してみたいと思います。

炎上の多くは名誉毀損や肖像権・著作権の侵害

炎上の発生源にはいくつかの傾向があります。しっかりとしたSNS運用ルールをつくるためにも、ここでは炎上の発生源について理解しておきましょう。

1. たとえ真実であっても名誉毀損になることもある

名誉毀損とは「他人の名誉を傷つける行為」を指します。例え真実であったとしても、その事実によって被害者の社会的評価が下がるような投稿などを行ってしまった場合は、名誉毀損による損害賠償を請求されることもあります。

例えば、競合他社の実名と製品の性能を列挙し、自社の都合の良いように比較するなどの投稿は炎上を招いてしまう可能性があります。

2. 他人が写った写真の無断利用

肖像権とは画像などに写った人の姿、形に関する人権です。よくあるのが、イベントやセミナーで盛り上がっている風景を撮影しようと、参加者の顔など本人が特定できる状態で撮影し、それをSNSにアップしてしまったというものです。この場合、写真に写った人たち全員に撮影許可を取らなければ、肖像権の侵害ということになります。

多くの場合、炎上よりも対象者からの削除依頼に留まる傾向がある肖像権侵害ですが、写真の使い方によっては、精神的苦痛などを訴えてインターネット上で拡散されたり、慰謝料を請求されてしまう可能性もあります。

3. 知らなかったでは済まされない著作権侵害

著作権とは、文章や画像をはじめとする知的財産コンテンツに関する権利です。つまり、他人が書いた文章をそのままコピペしたり、転載や利用が許可されていない画像を使用してしまった場合は著作権の侵害となってしまいます。

少し言葉は悪いですが「人のモノを勝手に使う」という行為は「あたかも自分が考えたように人から聞いた話をする人」のように、企業の品格自体が疑われてしまうことにもなりかねません。この著作権の侵害は、あらゆる角度から面白おかしく取り上げられたり、攻撃的されたりする可能性もあるため、コンテンツ制作の際には最も注意が必要です。

万一炎上した時のために対策ルールもつくろう

どんなに気をつけていても自社だけでなく外注先、取引先などの関係者経由で炎上を招いてしまうこともあるため、100%の炎上防止は難しいのが現状です。そのため、万が一炎上してしまった場合のルールづくりも大切です。

炎上してしまった場合、まずは「保身よりも客観的事実に目を向けて考える」必要があります。炎上の際は隠せば隠すほど、人々の不安や疑心を煽ってしまうことになるため、炎上の規模は大きくなります。

しかし、炎上してしまった際は誰しもが冷静ではいられませんから、あらかじめ対処マニュアルを作り、炎上被害を最小限に留めるための事前取り組みが必要です。

「炎上させない」「炎上したら」の2重対策をフレーム化しよう

最後に「炎上させない」「炎上したら」という2つのルールについてまとめていきます。

1. 炎上させないためのチェック項目

・企業または個人に対する批判的表現はないか
・使用画像に個人や企業秘密を特定できるもはないか
・人物画像については写っている全ての人に許可をとっているか
・文章・画像などを引用先を明記しているか
・キャンペーン情報のレギュレーションは網羅されているか

このほかにも活用方法によってチェック項目を加えていく必要がありますが、最低限上記5点は確認しておきたいところです。また、一人でチェックするのではなく複数人で重ねてチェックすることで、より正確なSNS運用が可能になります。

2. 炎上してしまったあとのチェック項目

・炎上の原因を客観的に見極める
・第一報、炎上の原因説明とお詫びを報告する
・第二報、事実確認と取り組みについて説明する
・第三報、取り組みの結果と今後の対策について説明する
・沈静化しない場合は警察や弁護士に相談する

まず事前対策の一つとして、Googleアラートなどの検索結果メール通知機能を使って自社の情報を定期的に収集しましょう。また、炎上最中については事実と異なる内容であったとしてもすぐに反論はせず、文面に配慮し、事実を正確に公表していきましょう。

まだ炎上対策についてのルールなくSNSを運用している方は、万が一の事態に備えて、しっかりとした「炎上防止」「炎上後」のルールづくりを2重で行っていきましょう。

いちばんやさしいネット炎上対策(2) - ネット炎上による風評被害とそのリスク

最近は企業SNSなどへの投稿や第三者による社外秘情報の露出によって炎上し、誤情報が拡散され、風評被害となって企業運営に支障をきたしてしまうというケースが多々見受けられます。しかし、一口に風評被害といってもその発生源や影響、収束の形は様々です。そこで今回は、企業SNS運用をはじめ企業としての正確な情報発信を行うために、ネット上の風評被害についてお話ししていきます。

風評被害の発生源と被害に至る経路を確認しましょう

風評被害とは、ある出来事をきっかけとして事実とは異なる情報がFacebookやTwitterをはじめとするSNSなどによって拡散され、消費者が企業に対して好ましくないイメージを抱いてしまうことを指します。それでは、風評被害はなぜ・どのような時に起こるのか。そしてどのような拡散経路を辿るのか。ここでは風評被害の全体像を把握していきましょう。

ネット上で風評被害が起こる前には、ほとんどの場合「投稿の炎上」「社外秘情報の漏洩」という事象があります。これは悪ノリした投稿、捏造ややらせなど投稿者側に属するものと、悪意を持った第三者からの操作、商品サービスの不満など企業に対する消費者の不信感などが火種となって起こります。

ネット上においてはポジティブな情報よりもネガティブな情報の方が拡散されやすく、最近はスマートフォンをワンタップするだけで数百の人に状況を知らせることが可能ですから、炎上してしまった場合は、企業側のコントロールを外れて情報だけが一人歩きをはじめ、瞬く間に数万~数十万というユーザーに広がってしまいます。

また、匿名掲示板などに事象が取り上げられ、誤情報であるにもかかわらず、批評された内容が広まってしまい、風評被害の規模が大きくなってしまうこともあります。

風評被害は売上や採用など企業活動に大きな被害をもたらす可能性があります

それでは風評被害が起きてしまった場合、実際企業にはどのような影響があるのでしょうか。風評被害の例としては「隠れた不買運動による売上の低迷」「人材採用の苦戦」「主要取引先からの契約解除」など、様々かつ複合的な被害を受けてしまうケースが見受けられます。

「隠れた不買運動による売上の低迷」とは、商品・サービスの質や、マーケティング手法に嫌悪を感じたユーザーが主観を述べ、「あの商品は買わない方が良い」という意図が暗に拡散されてしまうことによって起こります。また、対象となった商品・サービスをきっかけとして企業の存在自体に対する風評被害となってしまうケースも見受けられます。

「人材採用の苦戦」については、解雇した従業員の逆恨みや、不意に業務内容の一部が誤情報として露出してしまうことで「株式会社◯◯はブラック企業」というようなインターネット上の書き込みが発生し、内定辞退率が大幅に上がってしまったり、応募数の減少につながります。また、世間に蔓延する風評によって、働いている従業員のモチベーションにも影響してしまうケースもあるようです。

また、「主要取引先からの契約解除」については、悪評が立った会社との取引を継続することで自社も被害を被ってしまうと考えた取引先から契約解除を申し出られるというケースもあります。製造や仕入れなど、企業の生命線となる取引先との関係性悪化は、企業の存続に関わる状況にも陥りかねません。

風評被害が発生し収束するまでには“時間”がかかります

風評被害の発生から多くの人々に行き渡るスピードは、とてつもないスピードで拡散され、収束を迎えるまでには「人々が事象を忘れるまで」の時間が絶対的に必要になります。その間の企業対応に関しても、伝え方や対応を間違えれば二次被害、三次被害と被害規模が拡大していく可能性もあるため、風評被害が起きてしまった後の対応には、慎重かつルールに則った冷静な対処が必要です。

また、第三者の故意操作によって起きた風評被害については法的な措置を取ることもできますが、警察や裁判所に対して「ネット上の書き込みが被害の原因」であることを完璧に立証するのは難題かつ時間がかかるケースが多いそうです。また、損害賠償請求についても相手方に支払い能力がない場合は、泣き寝入りのように和解となってしまうこともあります。

完璧には防げない風評被害は、対応ルールなどの事前対策が必須

健全なSNS運用をはじめ、企業として適切な情報発信を心がけていても、第三者からの影響を考えると、完全に防ぎきれないのが風評被害の実情です。そのため、企業においては炎上した際の対応マニュアルの作成や、弁護士など専門家を相談者としてつけるなど、万が一の事態を想定した取り組みが必要となります。また、最近はネット状の風評被害対策専門のコンサルティング会社もあるため、事前に相談してみるのも良いかもしれません。

次回以降では、炎上した際の具体的な企業対応や、企業情報をパブリックに公開するためのルールづくりについても説明していきたいと思います。

いちばんやさしいネット炎上対策(1) - ソーシャルメディアで炎上する基本パターン

多くの人たちとインターネット上でコミュニケーションを取ることができるソーシャルメディアが、企業の広報活動に取り入れられる機会もますます増加傾向にあります。しかし、企業というパブリックな立ち位置での情報発信には、炎上や風評被害といったリスクも伴います。そこで、今回は健全かつ効果的なソーシャルメディア運用を考えた上で「炎上」というリスクについて説明していきたいと思います。

ネット炎上とは

一口に炎上と言っても、その種類や規模は多岐にわたります。そのため、まずは炎上の定義を明確にしていきましょう。炎上とは、企業が情報を発信した際、賛同的な意見よりも批判・誹謗中傷といったネガティブな意見が上回り拡散される状態を指します。また、炎上の規模は読者対象の母数によって異なり、情報を届けるユーザーが多ければ多いほど炎上規模は大きくなりやすい傾向にあります。

また炎上は、“噂が一人歩き”する状態であるため、発信した情報以上に話が膨らんでしまって、多くのユーザーの目に触れてしまう危険性があります。この場合、事実と異なる旨の訂正情報を発信してユーザーの理解を得たとしても、印象的な問題は払拭されにくいため、事実とは無関係なところで企業のイメージダウンにつながってしまう可能性もあります。これを炎上による風評被害と言います。

炎上のきっかけ

購入した商品に不満を感じた人がクレームを言う割合は、よく1割程度と言われています。そのようなサイレントクレーマーが多い中、なぜソーシャルメディア上の炎上は、被害が大きくなってしまうのでしょうか。それは、インターネットという場所が持つ拡散性にあります。例えばFacebookで企業情報を発信し、コメント欄に批判的な意見を書き込まれた場合、そのコメントは企業が思っている以上に多くの人に閲覧され、協議されます。また、インターネット上への投稿は操作が簡単ということもあり、クレームと比較しても「物を言いやすい」状態にあると考えられます。

また、インターネットを介したコミュニケーションというのは、情報を受け取るユーザーの心に懐疑心が潜んでいます。さらに、ソーシャルメディア上での情報発信はちょっとした言葉の言い回し、誤表記によって「騙された」と嫌悪感を感じてしまうユーザーも少なくありません。そのため、炎上はユーザーの懐疑心が根本にあるということをしっかりと理解しておきましょう。

炎上が起こりやすいテキストや画像の引用トラブル

ここでは炎上を引き起こすコンテンツについて触れていきます。炎上の規模を問わず、ユーザーからの誹謗中傷や批判的意見を受けやすいコンテンツとして、画像やテキストの引用が挙げられます。極端な話で例えれば「引用元を記載せず他サイトをコピペしたコンテンツ」です。このようなコンテンツは「手抜き感」や「表記ルール違反」という観点から、企業の品格を問われてしまいます。引用すること全てがルール違反ということではありませんが、他者のコンテンツを利用する場合は、利用許可をとることと、引用元を明記する必要があります。

また、画像に関するトラブルも多くあります。例えば、自社で開催したイベントの写真を企業がソーシャルメディア上で発信したところ、車のナンバーなど個人を特定できる情報が写ってしまっていたというパターンです。ソーシャルメディア上に画像を投稿する場合は、個人を特定できないように加工を施すなどの配慮が必要になります。

企業のイメージダウンにつながる「否定、やらせ、悪ノリ」コンテンツ

テキストや画像のトラブルと違い、「否定・やらせ・悪ノリ」など、ユーザーに操作的意図を感じさせるコンテンツで反感を買ってしまった場合、大きな炎上に発展してしまいがちです。例えば、投稿時に他社製品を否定しながら自社製品の優位性を強調するような記事や、架空のカスタマーレビューなどの捏造記事、笑いをとろうとして一定の読者を傷つけるような記事などは、ユーザーから「悪意」「嫌悪感」を抱かれやすくなるため、注意が必要です。

このような「否定・やらせ・悪ノリ」によって炎上が起きてしまった場合は弁明が効かず、企業もしくは投稿者の人格に対するユーザーからの信頼感が大きく欠如してしまうため、今後の企業活動に大きな支障をきたしてしまう場合があります。

個人視点ではなく企業視点でしっかりとした運用ルールを設けましょう

個人的にソーシャルメディアを使う場合は、閲覧母数も少ないため個人の主観的投稿でも炎上しにくいですが、企業としてソーシャルメディアを運用する場合は、社会的モラル、プライバシー、情報の整合性など注意すべきポイントが多々あります。

これからソーシャルメディアの運用を社内で行おうと考えている方は、まずコンテンツ精査の確認項目を決め、投稿前の確認作業フローなどをしっかりと定めてから運用を開始するようにしましょう。